救いたい
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川島隆子は仙台医療センターで麻酔科医長を務める優秀な麻酔科医。夫の貞一も医師であり、仙台市街に自宅もある「川島医院」を開院し、立場は違えど医者同士、お互いの仕事を尊重しながら夫婦二人で仲睦まじく暮らしてきた。そして、2011年3月11日、あの未曾有の震災が起こった――。
その後、突如、貞一は「川島医院」を無期限の休診として自宅を離れ、被災地で地域医療に従事するため診療所を立ち上げた。その被災地で、地元の人々や多くの患者たちから信頼されている貞一。 あの日を乗り越えて少しでも前向きに生きようとしている人々の笑顔があった。
当然のことながら、心に傷を負ったのは、医師の中にもいた。医療センターの隆子の部下である若い麻酔科医・鷹峰純子。彼女は震災で唯一の肉親であった父親を亡くしていた。そのトラウマから抜け出せない純子のことを、同じ医師として、女性として気に病んでいる。また父親の探索時に純子と出会った自衛隊員である三崎大樹は純子に恋心を抱いている。お互いに心惹かれあっているのだが、大樹と会うと純子は父親のことをまざまざと思い出してしまい、どうしても彼を受け入れることが出来ずにいた。
悲しみや厳しい現実を受け入れながら、それを乗り越えようとする人々。
今を生きる、心やさしき人々のドラマが、今交錯する――。