花の慕情

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堂本梢は二十四歳、華道の才に恵まれ、新葉流の父亡き後代って多くの子弟に花を教えていた。花福の店主矢波は、梢の容貌と気品に惹かれ、店の二階を花の教室に提供していた。また料亭をやっている義母の梨枝は二代目を継ぐ息子浩太郎のためにも、梢の将来に大きな期待をかけていた。だがこの目算も、浩太郎が学友の淳二と冬山で遭難死したことからすっかりはずれた。捜査が続けられ山小屋で待つ間、梨枝は淳二の兄慎一が山へ行くことを保証したことから、慎一を恨み、母の松代を罵った。間もなく、梢は新葉流の二代目家元を継ぐことになった。そして、矢波との結婚話がもち上った。が、梢は気が進まなかった。

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