フランキー・ワイルドの素晴らしき世界
地中海に浮かぶ高級リゾート、スペインのイビサ島は、人気クラブが軒を連ねるクラバーたちの聖地である。人気DJが熱狂的に迎えられ、フロアはオーディエンスで埋め尽くされる。フランキー・ワイルドは、独自のスタイルで、フロアを思いのままにコントロールする神業的プレイの持ち主。ヨーロッパはもとより、世界中にその名をが轟くカリスマDJ兼音楽プロデューサーである。妻・ソーニャと一人息子のキングと共に豪華なセレブ暮らし。しかし、そんな生活も長くは続かなかった。フランキーは、少しずつ聴力を失いつつあったのだ。障害を周囲に隠したままプレイに臨んだ彼は、客から総スカンを食ってしまう。誤魔化し切れなくなったフランキーは、マックスに勧められ医師を訪ねる。診断は「右耳の聴力は既になく、残る左耳も20%程度。これ以上騒音に晒してはいけない」という。ところが、レコーディング中残された20%の聴力も失ってしまったのだ。妻ソーニャはキングを連れて他の男と共に家を出てしまう。フランキーは表舞台から忽然と姿を消すのだった。挫折、焦燥、絶望、諦観、すべてを味わいつくしたフランキーは、死より生を選んだ。そんな時、女性教師ペネロペとの出会い、彼女はフランキーにさらに前に進む力を与えるのだった。